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"Small is Beautiful" その3 Human Scale Technology & Economy

  14, 2018 22:10

シューマッハ

第3回 平和と永続性
富に執着する現代経済社会の未来は明るくない。物質主義に執着する限り、戦争は絶え間なく続き、平和は永遠に訪れることはない。以下、シューマッハ氏の論点をのべる。

「・・・無制限の経済成長という概念は、すべての人々がますます富というものに執着するかぎり、少なくとも二つの点で深刻な問題に逢着する。一つは、基礎資源を代替えあるいは追加の形でどれだけ入手できるかという点であり、いま一つは予想される(人間の)干渉に環境がどこまで耐えうるかという点である。・・・経済的進歩は、宗教や伝統的な英知とは普遍的に背反する利己心という強い力を駆り立てるときにのみ得られるものである・・・近代の経済は、狂気なまでの貪欲さ、妬み、そねみ、乱飲乱舞といった熱情によって進んできたのである。それらの気質は偶然のものではなく、膨張主義者の成功の原因そのものなのである。・・・もし、貪欲とか、妬みとか、邪悪な人間性が組織的に奨励されるとするならば、それが不可避的にもたらす結果は知性の崩壊以外のなにものでもないだろう。貪欲や妬みに駆り立てられる人間は、物事をあるがままに見る力、物事を完全な形でしかも総体としてみる力を失い、成功そのものが失敗となる。社会全体がこれらの悪徳にそまるようになれば、実に驚くべきことをやらかすかもしれない。GNPが増大するかもしれない。が、日常の生存というもっとも基本的な問題を解決することが不可能になる。・・・やがて、GNPさえもこれ以上増加することを拒否するようになるだろう。それは科学、技術の失敗を理由とするものではない。抑圧され搾取された人々ばかりが、非常な特権グループの中にさえも、いろいろな型の逃避主義が表面化し、非協力という麻痺状態が忍び寄ってくるだろう。・・・私は、平和の基礎を普遍的な繁栄によって築くことは不可能であると言いたい。なぜなら、そのような繁栄は、たとえ達成できとしても、人間の知性、幸福、安寧そして平和な性格を破壊する貪欲や妬みの心情を駆り立てることによってのみ、実現されるものだからである。・・・一心不乱に富を追求することによって、われわれは地球に平和が確立できるという希望は、非現実的であり、非科学的であり、不合理な願望である。われわれがまだ成功を収めることができないでいる間は、高邁な思想などかかげることはなく、経済、科学、および技術に専念しなければならなかった。しかし、非常な成功を収めた現在、精神的・道徳的真理の問題が中心的位置に登場してきているのである。・・・永続性の経済学は科学と技術のオリエンテーション(方向づけ)を要求する。それは英知に扉を開くものでなければならず、実際に科学と技術の構造そのものに英知を合致させるものでなければならない。環境を毒し、社会構造と人間自身を堕落させるような科学的で技術的な“解決”は、いかに優れた構想に立ち、いかに大きな外面的魅力を持つものでも無益である。機械をますます大きくし、経済力をますます集中し、環境に対してますますおおきな暴力を行使することは決して進歩を意味するものではない。英知は、科学と技術を有機的で、穏やかで、非暴力的で、優雅で、美しいものにするように新しい方向づけを要求している。・・・「(ガンジーの言葉)私は、われわれの大地の無言の大衆が健康であり、幸福であることを願う。そして彼らが精神的に成長することを願う。・・・もし、われわれが機械の必要性を感じるならば確実にそれを持つであろう。すべての個人を助ける機械であるならば、それらは一つの役割を与えられる。しかし、少数の人々の手に力を集中させ、大衆を失業に追いやることはないにしても、彼らを単なる機械の番人に変えてしまうような機械にはいかなる役割も与えるべきではない。」と彼は言っている。

以上の観点から、シューマッハ氏は科学技術に以下の条件を課す。
① 事実上すべての人々に届くほど十分に安く
② 小規模の使用に適し
③ 人間の創意を満たすのに適合する
ものでなければならないと。そして、現状の経済、技術の病巣を次のように看破している。

「・・・人間が必要とするものは無限であり、その無限性は精神的領域においてのみ達成でき、物質の領域では決して達成できない。人間はこの単調な“世の中”で身を処する以外にない。英知がその道を教えてくれる。その英知がなければ、彼の世の中を破壊するお化けのような経済を作り上げることに駆り立てられ、まるで月に着陸するようなすばらしい満足を求めてやまない。聖人のような気高い人間になることによって、“世の中”を超越するのではなく、富と権力と科学、あるいは考えられる限りの“競技”に卓越することによって、それを克服しようとする。これらが戦争の原因であり、最初にそれらを取り除くことなく平和の基礎を作ろうと試みることは空想的である。まさに人間を紛争を駆り立てる力、すあわち貪欲と妬みの組織的な助長に依存する経済的基盤の上に平和を築こうとすることは疑いもなく空想的である。・・・人々は貪欲、妬み、憎しみ、そして自分自身の内部の抑えがたい欲望を克服する力をどこで発見できるのだろうか。私は、ガンジーがその答えを与えていると思う。「肉体から離れた魂の存在とその永続的な性格を認識しなければならない。この認識は生活の信仰にまで高められなければならない。最後の拠りどころとしての非暴力も、愛の神に生活の信仰を持たないものの助けにはならない。」

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