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"Small is Beautiful" その4 経済学の問題点

  21, 2018 12:41
シューマッハ

数量経済学は、人間の活動を数量に換算するという大きな間違いの上に成り立っている。マルクス経済学にある弁証法哲学のようなものがない(もちろん、その考え自体には賛成しないが)。数値に変換された人間的要素で数式を用いて経済を論じるのは間違っている。シューマッハ氏はこれをどうみているのか。その考えを聞いてみよう。

「・・・エコノミストは近代世界がそれ自身の中に発見する危険や困難をいかにして克服し、平和と永続性を授けるような経済的調整をいかにして成し遂げるかを教示してくれる人々とみなされるべきである。・・・エコノミストがあれこれの活動に、経済的に健全であるか否かの判定を下すとき、二つの重要かつ緊密に関連し合った問題が提起される。第一は、その判定は何を意味するかということである。そして、第二は、実際の行動の合理的な基礎としてその判定は決定的なものであるか否かということである。・・・豊かさが増すにつれて、経済学が公衆の関心のまさに中心部に移動し、経済的実績、経済成長、経済拡大などすべての近代社会に固定観念と言わぬまでも、不変の利益となっていると言っても、決して誇張ではない。・・・経済学は各種の財を、真の価値によってではなく、市場価格によって処理する。・・・市場は社会の表面だけを反映するものにすぎず、その存在意義をある地域とある時点の金融情勢に関連するにすぎない。その背後に横たわる自然や社会的事実に立ち入った物事の深さを証明するものではない。ある意味において、市場は個人主義と無責任を制度化したものである。買い手も、売り手も、自分以外のいかなるものにも責任を負うものはない。かね持ちの売り手は貧乏なお客に、彼らが欲しがっているとい理由だけで、買い手が特別の値段で支払ったりすることは「経済的でない」ということになる。同様に、輸入品が安いのに国内産の製品に特恵を与えることは経済的でない。彼は自国の国際収支に責任をとろうとはせず、そういうことを要求されてもいない。・・・経済的思考が市場を基礎にする限り、生活から神聖さが取り去られる。なぜなら、価格をつけられたものは、なんら神聖ではなくなるからである。したがって、経済的思考が社会全体に広がれば、美しさ、健康あるいは清潔さという単純で非経済的な価値でさえ「経済的である」ことを証明して初めて生き残ることができるといっても驚くにはあたらない。・・・文明にとって破壊的なのはすべてもものが価格をもつという偽りの主張である。言い換えると、これはおかねがすべての価値で最高のものとうことになる。・・・経済学がいまのような構成で実習されるかぎり、まったく量的分析だけに耽溺し、事柄の本質をみることを臆病に拒否しているが故に、これらの諸問題(環境問題、生活の質、人口問題、都市問題等)への理解をもっとも効果的に妨げる役割を果たしていると言っても不当ではない。・・・GNPの成長は、なにが成長しようと誰が成長しようと関係なく、誰かに利益さえあれば良いものなのである。病的な成長、不健康な成長、分裂的、破壊的な成長もありうるという考え方は、表にだしてはならない誤った思想さのである。・・・経済学にとっての主要な関心事は「財」である。経済学者は、購入者の見地から消費財あるいは生産財といった若干の初歩的区別をする。しかし、そうした財が実際になにかであるか、それらは人間が作ったものか神から与えられたものか、自由に再生産されたものかそうでないものか、というような認定を試みることはほとんどない。・・・市場はこうした区別には無知である。市場では、すべての品物に値札をつけ、それによって品物はすべて同じ意味を持つように、われわれにみせかけることができる。・・・もっとも重要なのは、市場に決して姿をみせない「財」の存在を認識することである。なぜなら、そうした財は空気、水、土地などの事実上生活自然の全体の枠組みとして、それらが私的に専有されてはならず、実際に専有されていないにもかかわらず、すべての人間活動に不可欠の前提条件をなすものであるからである。・・・目的よりも手段を重んずるやり方-ケインズが近代経済学の態度として確認したものであるが-が人間の自由と真に好ましい目的を選ぶ力を破壊し、手段の開発が目的の選択を命令するというがごとき問題を生じさせる。超音速の輸送スピードの追求や人間を月に上陸させるためになされた巨大な努力などが、その好例である。これらの目的意識は真の人間の必要と願望への洞察の結果ではなく、技術はサービスを意味するとの考え方にもとづくものでもなく、もっぱら必要な技術的手段はいつでも入手できるとの考え方から生まれたものである。・・・」


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