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武士道 その4 「勇」

  04, 2018 09:24
武士道
武士道の世界

4.「勇」-いかにして肚を練磨するか

(1)「義を見てせざるは勇なり」
・・・孔子は『論語』の中で、彼がつねづね用いているように、否定によって命題を明らかにする方法で勇気を定義づけている。すなわち「義を見てせざるは勇なり」と。この格言で肯定的にいいなおすと「勇気とは正しいことをすることである」となる。・・・
水戸義公は述べている。「・・・侍の侍たる所以は其場所を引退して忠節に成る事もあり。其場所にて討死して忠節に成る事もあり。之を死すべき時に死し、生くべき時に生くといふなり」と。・・・サムライの若者で「大義の勇」と「匹夫の勇(無茶な勇)」の区別を教わらなかったものがあろうか。勇猛、忍耐、豪胆、勇気-これらはもっとも容易に少年の魂に訴え、その実践と手本を示すことによって彼らを訓練できる資質である。それらは少年たちの間で幼いときから競わされている。もっとも人気のある徳であった。・・・軍物語は少年たちが母親の乳房を離れる前から幾度となく聞かされた。幼子が痛さに耐えかねて泣くと、その母は「これくらいの痛さで泣くとは何という臆病者ですか。いくさで腕を切り落とされてどうするのです。切腹を命じられたらどうするのです」と子を叱る。・・・親は、ときには残酷とみまがう苛烈な手段で子弟たちの胆力を錬磨した。彼らは「熊はその児を千仞の谷に突き落とす」といった。武士の子息は危険極まる谷間へ突き落とされ、シジフォスのような苦役(ギリシャ神話、おおきな岩を山頂までかつぐ苦役)に駆り立てられた。ときには食べ物をあたえられなかったり、寒気に肉体をさらされたりすることは忍耐に慣れるためのたいへん効果的な試練と考えられた。・・・

(2)平静さに裏打ちされた勇気
・・・まことに勇気ある人は、常に落ち着いていて、けっして驚かされたりせず、何事によっても心の平静さをかき乱されられることはない。彼らは戦場の昂揚の中でも冷静である。破滅的な事態の中さなかでも心の平静さを保っている。地震にもあわてることなく、嵐に立ち向かって笑う。私たちは危険や死を眼前にするとき、なお平静さを保つ人、たとえば、迫りくる危難を前にして詩歌を吟ずる人こそ立派な人として尊敬する。文づかいや声音に何の乱れもみせない何よりの証拠である。それは押しつぶされず、混乱せず、いつもより多くのものを受け入れる余地をもっている。・・・(この後に、その例として、「太田道灌の話」、「安倍貞任の話」、「上杉謙信と武田信玄の話」を挙げている。)・・・勇気は名誉とともに価値ある人のみを平時に友とし、戦時においてはそのような人物のみを敵とすべきことを要求しているのである。勇気はこの高みに達するとき、それは「仁」に近づく。・・・


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