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武士道 その5 「仁」

  05, 2018 16:02
武士道
武士道の世界

5.「仁」-人の上に立つ条件とは

(1)民を治める者条件は「仁」にあり
愛、寛容、他者への同情、憐憫の情はいつも至高の徳、すなわち人間の魂がもつあらゆる性質の中の最高のものと認められてきた。・・・孔子や孟子は、幾度となく民を治める者が持たねばならぬ必要条件の最高は仁にありと説いた。・・・孔子はいう。「君子はまず徳を慎む。徳あればここに人あり、人あればここに土あり、土あればここに財あり、財あればここに用あり。徳とは本なり、財とは末なり。」と。・・・孟子は孔子をついで「不仁にして国を得るものは之有り、不仁にして天下を得る者は、未だ之有らざるなり」という。

(2)徳と絶対権力との関係
・・・私はいかなる種類の専制も支持するものではない。だが封建制を専制と同一視することは明らかに誤りである。フリードリッヒ大王が「朕は国家の第一の召使いである」(といった)時を同じくして日本の東北の山間部にある米沢では、上杉鷹山はまさに同一の宣言をしていたのだ。「国家人民の立てたる君にして、君のためになる国家人民には之無候」と。・・・君主は民の父であり、下からその民をいつくしむことを委ねられていたのである。・・・このように人民の意向と君主の意志は一致し、人民主権の考えと絶対主義とはたがいに融合しあっている。さらに、一般にいわれているような意味とは別に、武士道は世襲政治を受け入れ、そして強化した。それはまたあまり関心を引き起こさない「アンクル・サムの政治」に対する意味でも父権政治であった。・・・君主が権力を行使することは、私達にとってはヨーロッパにおけるほどには重圧には感じられない。そればかりか、一般的には国民感情に対する父性的配慮によって緩やかなものに感じられる。・・・

(3)「武士の情け」に内在する仁
仁は優しく、母のような徳である。高潔な義と、厳正な正義を、特に男性的であるとするならば、慈愛は女性的な性質である優しさと諭す力を備えている。・・・伊達政宗は、そのことをよく引用される警句をもって「義に過ぐれば固くなる。仁に過ぐれば弱くなる」と的確にもいい表している。・・・「もっとも剛毅なる者はもっとも柔和なる者であり、愛ある者は勇敢なる者である」ということが普遍的な真理とされている。「武士の情け」すなわち武士の優しさは私達の内にも存在するある種の高潔なものに訴える響きをもっている。・・・

(3)いつでも失わぬ他者への哀れみの心
・・・この物語(須磨の激戦の際、熊谷次郎直実が、敵の若者の首を仕方なく刎ねた物語)は、優しさ、憐憫、慈愛がサムライのもっとも血なまぐさい武勇の物語をいろどる特質であることを示している。「窮鳥懐に入るときは、猟師もこれを撃たず」ということわざがある。・・・武士に詩歌を詠むことが奨励されたのは、より優しい感情を表面に表し、その反対に内面のそれを蓄えるためであった。したがって、日本の詩歌には悲哀と優しさが底流に存在している。よく知られているある田舎侍の逸話がこのあたりのことをよく説明している。・・・戦いの恐怖の真っ只中で他者への哀れみの心に貢献したのは、・・・日本においては音楽や書に対するたしなみがそれをなした。優しい感情を育てることが、他者の苦しみに対する思いやりの気持ちを育てる。・・・

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