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武士道-16 武士道は甦るか

  05, 2018 15:32
武士道の世界

16.武士道は甦るか
(1)武士道は日本の活動精神、そして推進力である
「・・・日本に怒涛のように押し寄せてきた西洋文明は、わが国古来の訓育の痕跡を消し去ったのであろうか。一国民の魂がそれほど早く死滅してしまうとすれば、それはまことに悲しむべきことである。・・・ル・ボン氏は・・・次のように述べている。「知性がもたらした発見は人類共通の遺産である。しかし性格の長所や短所は各民族がそれぞれ継承する固有の遺産である。それらは幾世紀にもわたって、日夜、海水で表れている硬い岩のようなものであって、わずかに表面のとがった部分が削り取られるにすぎないものである。」これは明確な言葉である。・・・武士道は、一つの無意識的な、あがうことのできない力として、日本国民及びその一人を動かしてきた、近代日本のもっとも輝かしい先駆者の一人である吉田松陰が刑死前夜にしたためた次の歌は日本国民の偽らざる告白である。

   かくすればかくなるものと知りながら やむにやまれぬ大和魂
・・・」

(2)自己の名誉心、これが日本の発展の原動力
「・・・近代日本を建設した人びとの生い立ちをひもといてみるとよい。伊藤(博文)、大隈(重信)、板垣(退助)、ら現存している人びとの回想録はいうまでもなく、佐久間(象山)、西郷(隆盛)、大久保(利通)、木戸(孝充)らが人となった跡をたどってみよ。彼らが考え、築きあげてきたことは、一に武士道が原動力となっていることがわかるだろう。ヘンリー・ノーマン氏は、極東事情を研究観察して、日本は他の東洋の専制国家と異なる唯一の点は「人類がかって考え出したことの中で、もっとも厳しく、高尚で、かつ厳密な掟が、国民の間に支配的な影響力をもつ」ことであると断言した。・・・トルコ人が何年も前にヨーロッパの砲術を輸入したように、日本はヨーロッパの機械工学を輸入した。これは正確に言えば影響というべきものではない。例をあげるとすれば、イギリスが中国から茶を買い入れることで、中国からなんらかの影響を受けとはいえないと同じである」と。タウンゼント氏はつづけて、「日本を改造したヨーロッパの伝道師、哲学者、政治家あるいは煽動家がいったいどこにいるというのだ」という。タウンゼント氏は、日本に変化をもたらした活動のバネはまったく日本人自身の内にあることをよく見抜いていた。・・・」

(3)日本人以上に忠誠で愛国的な国民は存在しない
「・・・国民全体に共通の折り目の正しさはまぎれもなく武士道の遺産である。・・・「小柄なジャップ」の身体がもっていた忍耐、不屈、勇気は日清戦争においてあますところなく証明された。・・・しかし、その反面、私たち日本人の欠点や短所もまた、大いに武士道に責任があると認めざろうえない。日本人は深遠な哲学をもちあわせていあにことは、武士道の訓育にあっては形而上学の訓練が重視されていなかったことにその原因を求めることができる。幾人かの若い日本人が科学研究の領域において、すうでに世界的な名声を博しているにもかかわらず、哲学の分野ではいまだに一人として一家をなした人は表れていない。日本人の感じやすく、また激しい性質は私たちの名誉観にその責任がある。・・・日本人は尊大なまでの自負心をもっている、というのであれば、これもまた名誉心の病的な行き過ぎによるものである。日本を旅行した外国人読者は蓬髪弊衣で、大きな杖あるいは本を抱え、世俗的な事柄にはまったくかかわりがないようすで大道を闊歩している若者を見たことがあるにちがいない。彼は書生である。・・・彼の目から見ると、世俗的な財産は、彼の人格にとっては束縛とさえなるのである。彼は忠君愛国の権化である。彼はみずからに国家の番人であるという役目を課している。書生とは、その美点も欠点も、まさに武士道の最後の残滓でなくなんであろう。・・・」

(4)武士道による無言の感化
「・・・武士道の影響は今なお深く根付き、かつ強力である。だが先に述べたように、その影響は必ずしも意識されたものではなく、無言の感化である。・・・一国の歴史をあざけることがあってよいであろうか。いかなる国民も来歴も、文字による記録をもたない。もっとも未開といわれるアフリカの人びとの経歴でさえ、神ご自身の手によって書かれた人類史の一ページではないか。・・・アメリカ的、あるいはイギリス的様式のキリスト教、すなわち、造物主の恩寵と至純よりも多分にアングロ・サクソン人の奇矯と幻想を含んでいるキリスト教は、武士道という幹に接ぎ木をするには貧弱すぎる芽である。新しい信仰の布教者たるものは、全ての幹、枝を根絶して、荒れ果てた土壌に直接福音の種を播くべきだろうか。・・・武士道の将来を考える時、彼ら宣教師たちが信奉する宗教の根本的原理がすでに一大勢力をなしていることを少なからず考慮にいれなければならない。武士道の余命はあといくばくもないかのようである。その予兆となる、かんばしくない徴候が大気中に瀰漫しはじめている。・・・」
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